- Q.夜尿症は治療すべきですか?
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夜尿が続くと、お子さまの自尊心が低下していき、生活の質(QOL)を悪化させる可能性が指摘されています。医師による生活指導やお薬などの治療により、何も行わずに様子をみるよりも治る割合が2~3倍高くなることが報告されていますので、早めの治療をお勧めします。
- Q.夜尿症の受診の目安はありますか?
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小学生になっても「おねしょ」が続く場合には、一度ご相談ください。小学生未満のお子さんでも、昼間の「おもらし」や便秘などの排便異常を伴う場合は、早めに受診をお勧めします。
- Q.夜尿症とはなんですか?
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5歳をすぎても月1回以上のおねしょが3ヵ月以上続くことを、「夜尿症」と呼びます。
赤ちゃんの頃から5歳までのおねしょは、成長過程として問題ありませんが、5歳をすぎてもおねしょが続く場合は、診療の対象となる「夜尿症」という疾患として区別しています。 - Q.思春期早発とはどのような病気ですか?
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思春期とは、こどもが成長して大人になっていく過程で、心身ともに変化する時期のことです。
通常、女の子は10歳頃、男の子は12歳頃より思春期の変化が出てきます。思春期早発症の方では、それらが2〜3年以上早く出現してきます。
思春期早発症で問題になることは、下記のようなことです。
- 低年齢で急速に体が完成(成熟)してしまうために、一時的に身長が伸びた後、小柄のままで身長が止まってしまうことがある。
- 幼い年齢で乳房が発育する、毛が生える、月経が発来するなどの症状が出現するために、本人や周囲が戸惑う心理社会的問題が起きることがある。
- まれではあるが、脳などに思春期を進めてしまう原因になる病変が見つかることがある。
以下に当てはまるときは受診をお勧めしています。
思春期早発症の主な症状
男児 ・ 9歳までに精巣が大きくなる
・ 10歳までに陰毛がはえる
・ 11歳までにわき毛やひげがはえる。あるいは声変わりする女児 ・ 7歳6か月までに乳房が大きくなり始める
・ 8歳までに陰毛やわき毛がはえる
・ 10歳6か月までに初経を認める
こどもの内分泌疾患・腎疾患
低身長や甲状腺疾患、思春期の異常などの内分泌疾患、
夜尿症や学校検尿の異常などの腎疾患に対して、専門診療を行います。
成長を
ご家族と一緒に見守る。
子どもの一番の特徴は「成長」することです。
慢性疾患を抱えた子どもたちは、
自分の病気と一緒に成長していくことになります。
子どもたちはもちろんご家族にとっても、
私たちが想像できないくらい大変な毎日だと思います。
医学は日々進歩しています。
私たちは積極的に学会や研究会に参加して
最新の情報を入手し、本人やご家族にわかりやすく提供します。
そして、子どもだけではなくご家族を応援し、
一緒にお子さんの成長を見守って行きたいと思っています。
子どもの内分泌疾患・腎疾患とは?
「内分泌」とはホルモンの働きで体の機能を正常に保つ仕組みです。また腎臓は体の不要なものを尿として排出する機能があります。内分泌や腎臓に不具合が生じると成長が障害され、さまざまな病気の原因となります。成長や思春期の異常、甲状腺疾患、糖尿病、くる病などの骨の異常、副腎の異常、肥満・高脂血症などの代謝異常などが起こります。
下記のような症状がある場合は受診が必要です。精密検査が必要なときは大学病院などと連携しながら診療を行っていきます。
| 小児内分泌・腎臓疾患の主な症状 |
- 低身長(背が低い、急に背が伸びなくなった)
- 高身長(背が高すぎる・急に背が伸び始めた)
- 思春期開始が早い
- 思春期開始が遅い
- 甲状腺が腫(は)れている
- 多毛(体毛が多い)
- 急激な体重減少
- 急激な体重増加
- 肥満
- 多飲・多尿(水をよく飲む・おしっこの回数が多い)
- 夜尿(おねしょ)
- 血尿・たんぱく尿
発育には個性があります。ゆっくり⾝⻑が伸びる子、早い時期から⾝⻑が伸びてしまい、その後あまり伸びなくなる子。
伸びる経過もそれぞれです。
「低⾝⻑」は、同じ性別、同じ誕⽣月のお⼦さん100⼈が背の順で並んだときに、前から2~3⼈⽬になることが基準です。
「⾝⻑が低いかも」「最近、⾝⻑の伸びが悪い」と感じたら、⼀度専⾨医の診察を受けることをお勧めします。
様々な要素が関係するため、総合的に判断し、正確な評価が必要です。
また、内分泌疾患の影響で低身長である場合は、成長ホルモン治療で改善できる場合があります。
詳しい情報は、日本小児内分泌学会HPをご覧ください。
「思春期」とは、こどもが成⻑して⼤⼈になっていく過程で、とくに体つきが変化して⾝⻑が伸びる時期のことをいいます。
この変化には性ホルモン(男の⼦だと男性ホルモン、⼥の⼦だと⼥性ホルモン)が⼤きく関わっています。
通常、⼥の⼦は10歳頃、男の⼦は12歳頃より変化がはっきりしてきますが、2~3年ほど早く変化が始まるのが「思春期早発症」です。
原因は、脳のホルモンが早く分泌されてしまう場合と、性腺(精巣、卵巣)からのホルモンが早く分泌されてしまう場合があります。
- 身長の伸びが止まる
早くに⾻端線が閉じてしまうため、⼀時的に⾝⻑が伸びたあと⼩柄なままで成長が⽌まってしまうことがあります。⾻端線は成⻑期特有の軟⾻組織で、これが⾻に置き換わること(⾻化)で、⾝⻑が伸びます。思春期に分泌される性ホルモンはこの⾻化を進めますが、最終的に⾻端線を閉じてしまう作⽤もあります。
- 子どもの精神的な負担が
大きい 他のお友だちよりも早く成熟してしまうことで、
⼦どもの精神的負担が⼤きくなることがあります。- 脳などに病気が隠れている
可能性がある まれではありますが、脳などに思春期を進めてしまう原因となる病気が
ないかどうかを調べる必要があります。
詳しい情報は、日本小児内分泌学会HPをご覧ください。
様々なリスクを引き起こす前に、
早めの治療をお勧めします。
生活スタイルの欧米化に伴い、小児期の肥満は世界的に増加しています。小児肥満は「肥満度」というものを使って評価します。
子どもの肥満は成⼈後の肥満や⽣活習慣病の発症につながることも多く、早くから治療を始めることが大切です。また、肥満を引き起す何らかの病気が隠れている場合もあるため、その評価も行う必要があります。
詳しい情報は、日本小児内分泌学会HPをご覧ください。
目安となる肥満度=
(実測体重-標準体重)/標準体重×100%
標準体重に対して実際の体重が何%上回っているかを示します。
※標準体重は、実際の身長から計算されます
- 20%以上
- 軽度肥満
- 30%以上
- 中等度肥満
- 50%以上
- 高度肥満
詳しい情報は、日本小児内分泌学会HPよりご覧ください。
起こさず、あせらず、叱らず
5歳以降のおねしょを「夜尿症」といいます。5歳では20%、6歳では10%くらいのお子さんにおねしょがみられ、成長とともに治っていきますが、宿泊する学校行事などで困ることがあります。
また、病気が原因で夜尿症が起きることもあります。右のような症状がある場合は、膀胱などの機能に問題があることもあります。
「起こさず、あせらず、叱らず」を理解することが夜尿症の改善に大きな助けとなります。まずは食事や生活習慣についてお子さん・ご家族と話し合い、薬物療法(抗利尿ホルモン薬)やアラーム療法を検討します。また、便秘を伴う際には排便リズムの確立が大切です。
膀胱等に
病気の可能性がある場合
- 昼間におもらしがある
- 頻回に尿意がある
- おなかを押して排尿する
学校の検尿で指摘されたら、早めの受診を。
「たんぱく尿」とは尿に、たんぱくが混じった状態。
また、腎臓から尿管、膀胱、尿の出口までの通り道のどこかで赤血球が尿に混じると「血尿」と診断します。
尿が赤い、泡立つなどの異常で気づくこともありますが、目で見てわかるのは稀で、健診や学校検尿で判明することがほとんどです。
指摘されたら、クリニックで定期的に尿や血液、超音波の検査を行います。
症状が続く場合は高度専門医療機関をご紹介し、「腎生検」という検査を行い、血尿とたんぱく尿の原因を調べます。
学校検尿で血尿とたんぱく尿の両方が見つかった場合の約6割は治療が必要な腎臓病(慢性糸球体腎炎)であると言われています。
学校検尿が全国的に普及してから、慢性糸球体腎炎により小児期に腎不全に至るお子さんが減少しており、
検尿による早期発見が関係しているとされています。
お子さんが検尿で、血尿・たんぱく尿を指摘されたら、特に症状がなくても早めにご相談ください。
専門の高度医療機関と連携しながら
治療を行います。
「先天性腎尿路異常」は、腎臓や尿の通り道の尿管、膀胱、尿道の構造の先天的な異常の総称です。
腎臓のサイズが小さい低形成腎、腎臓の実質のさまざまな形成異常を伴う異形成腎、腎の無形成といった腎臓そのものの異常に加え、尿の通過障害を来す後部尿道弁、腎臓からの尿の流れが障害されて生じる水腎症、膀胱から尿管へ尿が逆流する膀胱尿管逆流症などを含みます。特に低形成腎、異形成腎は小児CKDと言われる、小児期の慢性腎臓病や透析や腎移植が必要となる腎不全の最大の原因疾患でその早期診断と適切な管理がとても重要です。
先天性腎尿路異常は、お腹の中にいる時に超音波検査で発見されたり、出生後の定期的検尿や、他の病気にかかった時の血液検査や超音波検査で発見されることも多くあります。また低身長などの成長障害の診断をきっかけに発見されることもあります。
当院では、先天性腎尿路疾患や慢性腎炎、ネフローゼ症候群などの慢性腎臓病も、高度専門医療機関と連携して診療を行います。
“こどもの内分泌疾患・腎疾患”に関するよくある質問 内分泌疾患・腎疾患のよくある質問
内分泌疾患・腎疾患専門外来は完全予約制です。
発達相談は完全予約制です。
受付時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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14:00 - 16:00 | ● | / | / | ● | ● | / | / |
※完全予約制(3ヶ月前〜当日まで予約可能)
※木・金曜日は公認心理師による相談を行っています。
診療内容
こどもの
内分泌疾患・腎疾患
小児の内分泌疾患や腎疾患を診療する専門外来です。内分泌代謝専門医(小児科)と夜尿症(おねしょ)や子どもの腎・泌尿器の病気を専門にみる医師の2名体制で診察します。